リバーシブルのコート

縫製室目次

ダブル打ち合わせで、衿がそのままフードになっているリバーシブルコートです。

リバーシブルとは・・・・

裏表、両面で着られる服のことです。
違う布を2枚合わせて縫製する場合もありますが、
今回は、リバーシブル生地といって、はじめから2枚の布が合わさった状態で作られている素材を選びました。
新宿・文化学園購買部にて、3.5メートルで6000円くらいでした。
このコートには2.7メートル使用。

片面がブラウン系のチェック、片面はブラウン系の杉綾模様です。
このように、2枚の布をはがしながら縫製していきます。

地直し、裁断、印付けなど

まずは、地直しをします。チェックの布は、ゆがみがはっきりとわかるので、スチームアイロンの蒸気を当てながら
布を縦横に引っ張り、ゆがみをなくし、地の目を整えていきます。

印付けですが、リバーシブル生地の場合は、布をはがしながら仕立ててゆくため、
通常の切りじつけができません。
(布をはがすときに、切りじつけも抜けてしまうので)
そこで、上側の布だけに、縫いじつけをしておきます。

また、チェックの布ですので、身頃・袖・フードのチェック柄がずれないように気を付けます。


基本的な縫製方法

リバーシブル生地は、縫い代が1pだとしたら、そのさらに1.2pくらい内側まで布をはがしておきます。
あまり布をはがしすぎてしまうと、縫い目が落ち着かなくなります。
また、はがすときに力を入れすぎると、ウールですので伸びてしまいます。注意が必要です。
まずは、このように布を必要な分だけはがしておきます。

今回は、主にチェックの側を見せるように着るつもりでしたので、
チェック面同士をミシン掛けし、アイロンで縫い代を割ります。



芯を貼ります。
もともとが柔らかなウール素材です。普通のコートなら、身頃全体に芯を貼ったり、裏布を付けたりするのですが、リバーシブルの場合はそれが出来ません。
放っておくと、縫い代が柔らかすぎ、コートの自重に負けて、型くずれの元になります。
そこで、縫い代の内側だけに芯を貼るのです。
今回は、アイロン接着タイプで、1.2p幅の「ハーフバイヤステープ」というのを貼りました。洋裁用の接着テープには、ストレートテープ(平織り)がよく使われていますが、柔らかなウールであることと、カーブした縫い目にも馴染ませたいことを考え、少しだけ伸びるハーフバイヤス(16度ほど、織りに角度が付けてある)を使用しました。

そして、杉綾面の縫い代を片方だけ折り込み、チェックの縫い代に荒く縫いつけます。(手縫いです)

杉綾面の、もう片方の縫い代を折り込み、
先ほど縫いつけた縫い代と突き合わせにします。
「本ぐけ」して、裏面(杉綾面)も、出来るだけきれいに仕立て上げます。
上三分の一ぐらいの位置に、縫い目があるのですが、このぐらい目立たないように気を付けます。


縫製手順

1.フードを縫い合わせて組み立てておく。

2.ポケットを作る。

ポケット口になる部分を切り込み、玉縁(布でくるむ)で処理する。


杉綾面には、箱ポケットの箱部分だけを作っておく。

パッチポケット布を作っておく。

チェックの面に、パッチポケット布をまつり着けて完成。
もちろん、チェックの柄がずれないように気を付ける。

ポケット口の玉縁は、パッチポケット布で隠れるし、
箱ポケットの袋布も兼ねています。
パッチポケットに手を入れると、杉綾面の箱ポケットから手を出すことが出来ます。

3.袖を作って付ける

今回は、ラグランスリーブでした。

4.フードを付ける

身頃から続いているので、チェックの柄がずれないように気を付けます。




5.周り(前端、裾、袖口など)をかがって、ほぼ完成。

   どっちでも、好きな方で着ることが出来ます。

6.ボタン穴をかがって、完成。

穴糸でボタンホールステッチをします。

コートは、かなり大作に見えますが、実はそんなに大変ではありません。
ポケットを作り、各部品を組み立てていくだけで、出来てしまいます。
縫う部分も多くはないですし、フィッティングもアバウトでよい。どうせ厚着するから。
なんと言っても、神経を使わなくてはならず、労力も必要なのは、スーツです。あれは難しい。