この授業は、全部のクラスが行ったわけではなく、授業時間が多かったクラスにだけ行いました。
ビデオ視聴〜世界状況への理解、それを打開する活動への理解〜貧困構造への理解〜グループ討議とプレゼンテーション
といった、盛りだくさんの内容なので、
可能ならば「導入」でビデオ視聴を含み2コマ、「展開」で2コマとりたいです。
グループ討議やプレゼンテーションは、家庭科の授業だけでいきなりやっても難しいところ。
この授業を実施した学校では、
国語科・社会科の授業にて、討議やプレゼンの実習をときどき行っており、生徒が慣れていました。
また実施したクラスは、クラス員同士の仲が良く、発言を厭わない生徒が多かったので、うまく行ったものと思われます。
教員側も、生徒のプレゼンに対し、即時解説が必要となるので、相応の予習が必要です。
(1)世界の中で、非常に厳しい状況にある子どもたちについて知る。
(2)そうした状況を招く一因である「貧困」について、その構造に気づく。
(3)自分に出来ること、または現実を知る方法を考える。ユニセフの活動について知る。
映画「それでも生きる子供たちへ」から数編を選び、視聴する。
この映画は15〜20分程度の短編オムニバス形式で、
授業の中では、3編ほどを選んで視聴し、合間に解説を入れた。
私の授業の中では、以下の3編を選び、さらにこのような解説を入れた。(プリントも作っておく)
(1)「タンザ」 少年兵としてゲリラ活動している少年の物語。
解説として、「世界で、兵士になっている子供の事情」 「戦争によって子供にどんな犠牲があるか」
「難民キャンプの生活」 「子供の権利条約」 など
(2)「アメリカのイエスの子ら」 ニューヨークに暮らす少女。自分が母子感染によりHIVポジティブであることを知り・・・
解説として、 「エイズ予防プログラム」 「5歳になる前に命を失う子供たちの人数とその原因」
「栄養状態や予防接種の状況」「母体保護について」 など
(3)「ビルーとジョアン」 貧民街でゴミを集めて暮らしている兄妹の物語。
解説として、「子供のうちから労働している子供の事情」「教育を受けられない子供について」 など
貧困の構造を考えよう
「ユニセフの開発のための教育」という冊子があります。(冊子は、ユニセフホームページから請求できます)
その17ページに、「貧困はどこから」というアクティビティが紹介されています。
紹介されている方法を参考に、4〜6人のグループで
(1)貧困の連鎖・循環図を作る。
貧困の原因は1つではなく、いくつもの悪条件が関連していることに気づく。
(2)悪循環を解決するための方法を考える。
(3)模造紙1/2枚程度にまとめ、グループ代表者が発表する。
(1)(2)はカードに書いて貼る形式なので、グループ別の活動を1〜1.5コマで行い、
発表や教員による解説を0.5コマ程度確保する。
(4)この課題をやってみての感想文を書く。
実施時、生徒からは、「貧困の悪循環を解決するための方法」として、以下のようなものが出ました。
*「収入が不十分」「失業」ならば・・・ 学校で実用的な知識や技術をつける
就職活動がしやすいようにする
就職先をたくさん作る(なにか事業など)
養いきれる人数の子供になるよう、避妊方法を教える
*「栄養が充分とれない」「体が弱る」ならば・・・ 貧困者に補助金を出す
子供のために学校給食を出す
栄養の知識を教える
*「学校に行けない」ならば・・・ 学校に関する費用を無料にする
そして同時に、その国全体が社会的混乱の中にあったり、経済的に厳しい状況であれば、
その国だけですべてを解決するのは難しいのではないか、ということにも気づきました。
だから他国からの援助や、ユニセフの支援活動が必要になってくるのです・・・
このことについて、少し教員が解説します。