実際の求人広告を見ながら自分がしたい仕事を選び、 (1)その仕事をした場合の生活時間をシミュレーションする (2)その仕事によって得られる収入を計算して、どんな経済生活になるか(月々の生活費など) を考える。 |
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新聞折り込みの求人広告をコレクションしておき、A4で3ページくらいにまとめておく。
いちおう会社・店名や電話番号などは、一部スミ塗りや記号に変えておく。
左の写真の場合、
(1)学生でも勤められそうで、はっきり言ってこれでは「食えない」アルバイトなど
(2)専門的な資格(看護師、薬剤師、保育士など)を要求される仕事
(3)正社員の募集
の3種類に分類して広告をレイアウトしてある。
この教材を使う前の授業などで、
(1)生活時間の分類方法(生理的時間、労働時間、余暇時間)
(2)日本人の生活時間の傾向解説
(3)今現在の自分の生活時間はどうなのか、他の子と比べたりして特徴を見つける
などを学習しておく。
高校生になると、アルバイトをはじめる生徒が多くおり、
この授業を行う頃にはすでに、放課後や休日はアルバイトで過ごしていることであろう。
本来、学業や健康維持に無理のない範囲でアルバイトをするべきなのだが、
本末転倒な状態になっている生徒も散見する。
(昨今の家庭状況から、生徒のアルバイト収入が当てにされる可能性もあるのだが・・・)
ここで、アルバイトの時間について、生徒に見直してもらう。
学業もアルバイトも「労働時間」に分類できるものであり、
学校にいるだけですでに6時間以上の労働時間を過ごしている。
放課後16時から、18歳未満が働ける22時までを全てアルバイトにあてると、
1日合計12時間もの労働時間となってしまう。
さらに休日は8時間のアルバイトをするならば・・・
これは、標準8時間労働の大人なら、過労死が心配されるほどの労働時間だし
(毎日4時間の残業をし、休日も勤務していることになる!)
健康を害してしまうだろう。
今、高校生の皆さんが何ともないとすれば、それは若いから何とかなっているのか、
もしくは授業中に眠っているからで、学業に支障が出ていることになる。
広告を見て、自分のやりたい仕事を選んだら、
ワークシートを埋めていく。
ワークシートは2種類。
「自分は学生である」設定と、
「自分は必要とされる資格を持った、社会人年齢である」設定。
<ワークシートの中で記入すること>
(1)求人広告の内容を整理する
必要な資格 / あなたが働くことになる時間帯 / それで、いくら稼げるのか(月給なのか、時給ならば単純に計算して1ヶ月いくらなのか)
職種や勤務形態 / 勤務地 / あなたの自宅からの移動手段と所要時間 / 待遇について書いてあることを全部書き写す
(2)どんな生活スケジュールになるか、時間軸グラフに書き込む
(3)どんな生活になりそうか、想像してたくさん書く
<このワークシートを通して学ぶこと>
(1)についての詳細は、進路指導の中で学ぶので、家庭科の授業の中ではとりあえず、
広告をちゃんと読むことに留めておく。
(2)(3)・・・家庭科の授業の中では、これが焦点になる。
<ぜひ、気付いて欲しいこと>
(1)学校を卒業し、社会人になると、生活時間は労働時間が中心になる。
(2)「食える」程度の収入が欲しかったら、フルタイムで働かないと、実際のところ難しい
(短時間で・楽な仕事内容で・高収入・・・というのは普通、あり得ない)
(1)ワーク・ライフ・バランスの考え方
仕事を一生懸命やることが、生き甲斐になる時期もあります。
仕事と家庭生活をうまくバランスとらなくてはならない時期もあります。
食うために、とにかく働かなくてはならないときもあります。
バランスがうまくとれずに悩む時期もあります。
そのへんは高校生が考えるには難しいかもしれません。
生徒との人間関係が出来ていれば、教員の体験談を話しても良いかと思いますが・・・
(2)余暇時間についての話し合い
*人間にとって、余暇はなぜ大切なんだろう?
*忙しい仕事を抱えつつ、余暇時間を少しでも多くひねり出すにはどうしたらいい? ・・・アイディアを出し合う。
(3)家計配分のシミュレーション
あなたが選んだ仕事で、1ヶ月に得られる収入を、家計配分してみよう。
(そのためのプリントは必要)
家賃は収入の1/3まで、という条件を付けておく。
どう? やっていけそう?
同じくらいの収入の人と2人暮らし(結婚)したら、やっていけそう?
(4)仕事と法律
詳しいことは社会科や進路指導でやるはず(要、校内で確認)なので、
家庭科では勤務時間や残業手当について触れる。
時間があれば男女雇用機会均等法とか、育休&介護休業なども・・・