現代の食生活

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教材室

この単元のテーマ

(1)自分の食生活を振り返る。
(2)自分の食生活について、漠然とでも良いので課題点を見つける。
(3)現代日本人の食生活の特徴をまとめる。
(4)食生活指針の紹介。
(5)一年間学ぶ食物分野の、学習目的と内容を意識する。

指導資料

教科書等に掲載されている食生活に関するデータ。
新聞記事の利用から導入することもある。

授業展開(2時間)

導入

新聞記事や写真など、できるだけ新しい食生活に関する話題・ニュースを提示し、
その解説と意見を募る。

展開1

(1)自分の、過去24時間に食べたもの・食べた時間・作った人・昨日の大まかな生活状況(就寝・起床時間、アルバイトや部活の有無など)を書き出させる。

高校生だと食事は自分で作っておらず、食生活は受け身の傾向。
だから、食べたものについての意識はまだ薄く、「24時間分」と言っても意外と書けない生徒が多い。
これをきっかけに、できるだけ意識をもって食事をしてみよう、と働きかける。
また、健康的な食生活に整えていくには、
毎日の生活スケジュールそのものも整える(早寝早起きなど)ことがポイントであることに気づかせる。

(2)「食生活チェックシート」(私が作ったもの)と照らし合わせ、自分の食生活や嗜好に問題点がないか考える。

    *毎日、何でもいいから朝食をとっていますか。
     (本当は主食・副食・主菜をそろえて、と言いたくもあるが、
      現代の生活では、パン1つでも始業前に食べているだけでも、上等と考えるところから始めなくてはならない。それが現実)
    *毎日、2食以上は野菜を食べていますか。
     (本当は3食と言いたいが・・・以下同)
    *毎日、牛乳やヨーグルト、チーズなどを食べていますか。
    *週に3回以上は運動をしていますか。
     (高校生はこのペースで体育の授業があるので、たいていYES)
    
    *1日2食以上、揚げ物や炒め物を食べていますか。
    *味が濃くないと気が済みませんか。
    *1日2回以上、お菓子やデザート類を食べていますか。
    *マヨネーズなどをたっぷり使いますか。
     (これら4項目に丸が付いた場合は、余りよくない傾向)

    *自分は、太りすぎ・太り気味・普通・やせぎみ・やせすぎ だと思う
    *実際にBMIを計算してみましょう

最初の4つの質問で、ごく基本的な食生活の整い方に気づくことが目的。
これらがクリアされていれば、100点満点で80点ぐらい? (3食揃えば100点?)

次の4つの質問に丸が付いていると、将来の生活習慣病のリスクが高まるかも、と話す。
若い頃からの食習慣は、「食事の好み」として中高年になっても続きやすいこと、
大人になると、ここにお酒を飲む習慣が加わる場合が多いし、
長い人生、油・砂糖・塩分の取りすぎはろくな結果にならないことを知ってもらう。

最後の2つの質問&計算で、自分のボディ・イメージを正しく持っているかを確認してもらう。
また、食べ過ぎか、食事不足かは、定期的に体重を量ることで発見できるものであり、
何となく「太りすぎのはず、食べ過ぎのはず」と自分でイメージしているのが、
実は違っているかもしれないと説明する。

(3)自分の食生活の課題点を挙げる。

展開2

(1)現代日本人の、食生活の特徴をまとめる。

(教科書に準じる)
       *栄養摂取バランスの変化
       *食事摂取状況の変化(孤食、中食、欠食、外食産業などについての解説を加える)
       *食糧自給についての問題
       *家庭生活の中にある食生活について
       *健康と食事に関しての意識の問題、健康番組と消費が連動していることについてなど

(2)食生活指針(厚生労働省)の紹介。

(3)食事バランスガイド(厚生労働省)の紹介。 これは後日、また詳しく学習することを予告。

まとめ

この授業は食物分野授業の、第1回である。
学ぶ内容とその目的を伝える。

目的は・・・・
(1)栄養や食生活について、正しい知識を持とう。
(2)多くの情報に惑わされずに食生活を送れる人になろう。
(3)毎日の食生活の積み重ねが、健康を作ることを自覚しよう。
(4)基本的な食材が扱え、手際よく料理ができるようになろう。

時間があれば

世界の家庭の、一週間分の食料を撮影した写真集(地球家族シリーズ)を見せる。
日本の伝統的な食生活(かなり崩れてはいるが・・・)は、世界に誇れるヘルシーさではあるが、
世界には様々な食生活があり、よそから見れば日本の食生活は異様なものにも映るだろう。

その他

この授業は、2007年4月に行ったものである。
その後、2007年11月に「普通の家族がいちばん怖い 徹底調査! 破滅する日本の食卓」(新潮社)という本を読んだ。
これはかなり衝撃的であった。
家庭科の教員は、是非とも読むべきだと思う。
この調査会社は、数年前から食事調査を行い、NHKスペシャルにて「好きなものだけ食べたい」という番組のベースにもなっている。

もはや、現代の家庭の食生活は、教科書や家庭科教育が想定した範囲を超えてしまっているのではないか。
家庭科の授業でやるべきことと、これまで私が考えてきたことは、現実と適合していないのかもしれない。
おせち料理を大体手作りしている私は、実は「変人」なのかもしれない・・・

この本を読むと、かなり考えさせられる。
来年のこの授業は、やり方や内容を企画から練り直す必要がありそうだ。