男物浴衣

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夫用の浴衣を縫いました。
大きい人なので、標準寸法では作れず、反物は現在売られている最大幅(40センチ。標準幅は36センチ)を求めました。
「お相撲さんの浴衣は何か特別なものなんですか?」と聞いたところ、
「特別な反物ではない。40センチ幅が男物反物の限界で、それ以上のものはない。
よほど大きな人の場合、2反求めて、幅をはぎ足すことはある」・・・そうです。
夫はそこまでしなくて良いみたいでした。

男物も女物も、基本的に仕立て方は変わりません。
違う点は大きく3つ。

1.男物には「おはしょり」がないので、身長マイナス30センチ程度の丈で仕立てる。
  そのため、背の高い女性よりも布が少なくて済むことも多い。(女物は身長プラス10センチ程度)
2.脇の下部分、「身八つ口」と呼ばれるあきが、男物にはない。
  袖付けは隙間なくピッタリ仕立てる。  そのため、脇の下がゴロゴロしないように注意する。
3.前後身頃のウエストあたりに「腰揚げ」という部分を作る。  
  仕立てているときは「なくても良いんじゃないかなー」と思ってしまうけれど、
  この部分があるおかげで、着崩れが少なくて済むのかもしれない。(男物は衿の後ろは絶対抜かないで着る)

反物。将棋の駒の模様にしました。(羽生名人のキャラクター商品らしい)             袖作り。女物より縫う部分は多いです。丸みは小さい。

 前身頃・後ろ身頃に「腰揚げ」をします。それから背縫い。以降の作り方は女物と同じ。
おしりの部分に「居敷当て」をつけます。  
肩の部分には「肩当て」をつけます。
脇とおくみを縫いつけ、裾を上げます。

衿には「かけ衿」をあらかじめ縫いつけ、一体化しておきます。
衿を縫い合わせて整えたら、「三つ衿芯」を入れます。
衿外回りの縫い代を折り返しておきます。

男物は、衿幅が全て一定です。(女物の衿は首の後ろに向かって細くなる)

  衿先の始末は女物と同様です。
                                                                       
脇の下部分に「四つ止め」をします。これは、女物ではやらないことです。
袖のあき部分と、身頃の袖付け部分の寸法がぴったり合っていなくてはいけません。

脇の下を四つ止めにより、固定するため、女物のように、最後に「かんぬき止め」はする必要がなくなります。
かんぬき止めをするように指定しているテキストもありますが、私はこれ以上脇の下部分に糸を増やすと、すっきり着られないと思う。
   袖(上の部分)を身頃(下の部分)に縫いつけ、耳ぐけで仕上げます。畳み方は女物と全く同じです。

着てもらった。  国技館の前に、こんな人がたくさん歩いている。