お色直しのドレス

縫製室目次

10才の誕生日に買ってもらった工業用ミシン。
おもちゃのミシンをねだったら、こんな本格的なミシンをもらってしまって、
思えばここで、プロになることは決定づけられていたのかもしれません。

もう20年使っていますが、調子いいです。
通っていた女子大には、ちゃんと動く江戸時代のミシンが展示されていました。
ミシンは機構がシンプルなので、あまり壊れず、修理もしやすいんですって。

型紙を作ったら、まずシーチング(安価な木綿の布)で仮縫いをします。
一通り縫い合わせ、着てみるのです。
ウエストラインが前に向かって上がってしまうので、絞りの位置を少し下げました。
あとは体型に合わせてフィットさせていきました。
肩幅も少し詰めました。
こうして、無駄なく、本裁断用型紙を作っていきます。



お色直しのドレスは、ウエスト切り替えがなく、上下連続したスタイルです。
(プリンセスライン)
選んだ布は、薄い水色のオーガンジーに青・水色・白の刺繍がしてありました。
ドレスが縫い上がったとき、この刺繍が連続していないとおかしいので、
柄合わせをしました。
ウエストラインと裾に通る刺繍の位置を、すべての部品で統一しました。
これが一番面倒でした。

この生地だけで作ると、色が薄すぎるため、同じ型紙でもう一段階濃い青のオーガンジーを裁断し、重ねることで色に力を持たせました。また、白い透けない布でも裁断し、刺繍模様を浮き出させました。表布は3枚重ねです。さらに、同じ型紙で裏布も作りました。裏布は袖には付けません。

表布の縫製は、巻きロックミシンを使用しました。
布の縫い代をカットしながら、布端を巻き込むようにして縫い合わせていきます。
こうした透ける生地には最も速く、きれいな縫製だと思います。

表布は3枚なので、3回繰り返して形を作りました。






縫い上がった3枚の布は、そのまま重ねてしまうと、縫い目が透けて見え、ずれて美しくないので、それぞれの縫い目同士を手縫いで縫い合わせて固定します。
身頃の一番上からウエストラインぐらいまでは固定しました。
スカート部分は離しておいた方が、揺れてきれいです。

ファスナーを付け、裏布を重ねて始末します。
袖を作ります。「チューリップスリーブ」と言って、袖の部品が二つに分かれています。

刺繍された布と、青い布を重ねて作ります。透ける素材なので、袖口の始末の仕方に悩みました。まとめて巻きロックをかけるのは美しくありません。教科書的には、ここはバイヤステープでくるんで始末するのですが、透けるのでそれも避けたい。
縫い合わせて、縫い代をピッタリ5ミリに切りそろえ、ていねいに表に返すことにしました。
成功。細い縫い代なので、カーブに切り込みを入れなくても表に返りました。
袖の部品を合わせると、このようになります。
袖を表身頃(3枚まとめて)に縫いつけ、裏布を折り込んでまつり、始末します。
襟ぐりに、パールのブレードを縫いつけます。このように連続模様の状態で売られてます。
完成。刺繍模様も、一周ちゃんと連続して仕上がりました。