受診して、ツワリが重くなったこと、出血が続いていること、流産止めの薬も吐いてしまうことを話した。
入院安静を勧められた。
「でも、しょっちゅう吐くのでトイレが近くにないと・・・それに、隣の人の食事の匂いが辛かったり」と答えると、
個室入院することになった。
今日の夕方から入院。
急な展開にかなり驚く。
入院なんかしたことがないので、病院の「入院パンフレット」を見ながら荷造りする。
夫と実家と学校へ連絡。
医療保険の会社にも電話し、保険が下りるかどうか聞いた。
個室入院なので、差額ベッド代がかかり、入院費の負担が心配だったのだ。
保険は下りる、書類を送ってくれるとの返事だった。
「妊娠は病気ではない」ということで、通常の妊娠検査や分娩入院に、保険証はいっさい使えない。
(そんなこと決めたのは、どこのバカ政治家だ!? 通常妊娠でも体調悪いよ!!)
私の場合は「切迫流産」と「重症妊娠悪阻」の病名が付いたので、
保険適用となった。
切迫流産の治療は、薬が飲めなかったら安静しかない。
ツワリ対策で点滴。吐き気が止まるわけではなく、脱水症状の改善のため。
病室に案内されたら、すでに両親が来ていた。(初孫だし心配してくれたらしい)
尿と血液の検査の後、すぐに点滴を打つ。
病院の枕はソバガラで、普段クッションタイプの枕を使っている私には固くて高く、
ほとんど眠れなかった。夫に頼んで、自宅の枕を持ってきてもらう。
病院の建物は古くて、すきま風が入ってくる。
結局、風邪をひいた・・・(妊婦は抵抗力が落ちているので風邪をひきやすく、薬が飲めないので治りにくい)
私はもともと、血管が出にくいので、点滴が打ちにくい。
これから毎日点滴をするため、手首近くに針を刺し、固定した。
これなら、毎回「刺しどころ」を探す必要がない。
一週間くらい保つらしい。
でも、2日くらいで詰まってしまって、結局毎回「刺しどころ」を探してもらうことになった。
静脈が出にくくてなかなか刺さらない。
1回について2〜3時間かかる。点滴スピードを上げてもらったら付いていけなかったらしく、
一時血圧が70に下がって危なかった。
徐々に痩せてしまったようで、血管まで痩せてますます刺さりにくくなり、
点滴は常に手の甲で行うことになった。
初期の点滴はいいが、後期に貧血で点滴が続くと、
私の血管はボロボロになってしまい、出産時の点滴が苦しくなる。
ツワリが落ち着いたら、貧血だけは注意してと看護士さんに聞いた。
点滴のアルコール綿の匂い、見舞いに来てくれた夫の汗の匂いがダメだ。ゴメン、夫。
これが入院食(夕食)。
主食はお粥がいいか、ゴハンがいいかと聞かれたが、
今の私にはどちらもダメ。(匂いの段階で吐く)
それで、主食はパンにしてもらった。
初めての入院で、給食が珍しいため、一口ずつ食べてみる。
思ったよりも味付けはしっかりしているし、
毎食、果物や乳製品が出て、栄養バランスもさすがに良い。
でもやっぱりあまり食べられない。パン(トースト)を半分と、果物、ヤクルトだけ食べた。
そしてまた吐いた。
やがて、イースト菌の匂いがダメになって、トーストが食べられなくなった。
ヤクルトも牛乳もダメ。果物も、柑橘類やバナナはダメ。リンゴは大丈夫。
おかず類はいっさいダメ。食事を運ぶワゴンが、廊下を通っただけでもうダメ。
切迫流産で安静ということから、食後の下膳は厨房職員さんがやってくれることになっていたが、
食べきれない食事がいつまでも室内にあるのも、辛い。
自分で下膳する事にした。
入院2週間目から、給食はヨーグルトと果物だけにしてもらった。
でも実は、食べてるのはリンゴだけ。ヨーグルトも吐いてしまうのです。
あまりにも吐いているため、看護士さんにポカリスエットなどのスポーツドリンクを飲むことを勧められた。
ツワリの時期は、子供は数十グラムしかないので、
母親が食べられなくても子供は育つ。
でも、脱水症状がすすむのが一番まずいのだそうだ。
それはわかる。私はすでに脱水を起こしており、尿があまり出なくなっていた。
検査をすると「ケトン体」が出ており、代謝障害も起こしているのだった。
というわけで、スポーツドリンクも飲んでみた。
でも、入院4週目ぐらいから、それも飲めなくなった。あの甘さが苦しくなって・・・
結局、6週間の入院のうち、後半3週間は、
自宅や実家から持ってきてもらったミネラルウォーターと、
一口ゼリーと、桃の缶詰と、給食でときどき出るリンゴ。
後は点滴で暮らしていた。
どんどん身体がふらついていくのがわかる。
来るべき退院と職場復帰に向けて、筋肉を落としすぎてはいけないと思い、
病院内をときどき歩いたが、足がガクガクする。
結婚指輪や腕時計がゆるゆるになって、痩せたのかもしれないと思ったが、
入院中は体重を測らなかった。
切迫流産の薬は、吐き気が強くなるために飲めなかった。
とにかく安静で、3週間ほどで心音が確認でき、
妊娠9週目に一応の危機は脱した。
10日に一度くらい、超音波で子供の写真を撮るが、ちゃんと大きくなっている。
流産のほとんどは10週目くらいまでに起きると聞いていたので、
本当にここまでは、とても心配だった。
ほぼ毎日出血していたし、ツワリもひどくなる一方だったので、
もうどうなることかと泣き暮らすような毎日だった。
吐く回数は、一日15回程度。
吐くものはないので胃液を吐く。奥の胃液は苦い。
吐くのも体力を使う。吐いた後は全身が震える。
吐いても食べるのがよいのか、
吐く体力を温存するために食べない方がいいのかよくわからない。
吐くときは、便器にトイレットペーパーを敷くと、胃液が跳ね返らない。
吐きにくい和式トイレでも、このテクニック(?)で大丈夫。
点滴台をトイレの中に持ち込み、点滴しながら吐いた。
こんな変な、嘔吐テクニックを身につけてどうするのやら・・・
ツワリが強いのは、とりあえず子供が自己主張しているのだから、元気な証拠だから。
ツワリは時期が来ればきっと治まるから。
それより、切迫流産を安定させることが大事。
・・・・と、看護士さんや助産士さんに励まされた。
安静第一なので、読書かテレビぐらいしかやることがない。
夫にいろいろと本を持ってきてもらうが、バンバン読めてしまう。
昼寝しても良かったのだろうが、昼寝すると夜眠れなくなって、
生活リズムが崩れるのが怖かったので、日中はなるべく起きていた。
点滴中は読書もきついしなあ・・・(腕をあまり動かせないので)
昼間のテレビはワイドショーや、再放送ドラマばかりであまり面白くない。
でも、夕方の教育テレビは面白い。
「ピタゴラスイッチ」「にほんごであそぼ」「ゆうがたクインテット」は、
必ず見ていた。
全日空の新しい羽田空港のCMを見ていたら、目が回ってしまった。
たくさんの飛行機がシンクロナイズド・スイミングのように動く、楽しいCMなのだが。
あと、シンガポールのマーライオンが水を吐くCMを見ると、私もたいてい吐いてしまった。
ほとんど食べられないけれど、食べたい気持ちはあるので、
グルメ番組はじーっと見てしまう。
でも、バクバク食べる出演者の様子を見て、
あまりの食べっぷりに、見ている私は吐いてしまうことがあった。
学校の同僚や生徒のお見舞いは、控えていただくようにお願いしていました。
かなりやつれているので、会うのが恥ずかしかったのもあるし、
生徒から見ればかなり強烈だろうから、このせいで「妊娠が怖い」とか思ってしまったら、
将来の少子化に拍車がかかるかもしれないと思ったので。
両親は交替でお見舞いに来てくれた。
私は実家を出てもう10年になる。
両親とゆっくり話せたのはとても良いことだった。
私を妊娠・出産したときのことや、小さいときの話。
友人や兄夫婦、夫のお見舞い、ありがとうございました。
夫は(そうじ以外は)家事をほぼこなしてくれていたようです。
結婚当初は家事がほとんど出来ない人だったけど、
やっぱりこういうことがあると、夫も家事が出来て良かったと思った。本当に。
11月15日に入院して、退院は12月25日。
いつの間にか、木の葉はすっかり散って、町はクリスマスイルミネーションを外し、
正月モードの飾り付けにはいるところでした。
退院といっても、昨日までやはり点滴していたし、まだ水とリンゴぐらいしか食べられないのです。
カステラも少し食べてるけど。パンやごはんはダメだ。
でも、病室にこもるよりは、慣れた自宅に帰ったほうが精神的にもいいと判断。
私もそう思う。
ツワリがどこまで続くかの判断は難しいのだけど、
3学期の始まる1月10日頃には、もう妊娠14週なのだから、
普通はツワリは治まる物でしょう・・・ ということで、3学期から学校に復帰することにした。
仕事したほうが、気分も変わってシャンとするかもしれないし。
ツワリは、治まるときは数日で一気に治まる人がほとんどだとのことでした。
(でも、ごくまれに8ヶ月とか、臨月までツワリが続く人もいるんだそうな・・・)
自宅に戻ってビックリ。
駐車場まで歩けない・・・・
体重は10キロ減っていました。そりゃー体力が落ちるわけだ。
妊娠初期のほとんどを病院で過ごしてしまった。
すぐに母子手帳を取って、初期検査を受けなくてはならないのだが、
保健センターまで行く体力がなく、母に行ってきてもらう。
年末押し迫っているので、すぐ行かないとセンターも病院も閉まってしまう。
母子手帳は本人か、同居の家族が取りに行くことと決まっている。
保健センターに電話して事情を話し、
私と母の親子関係を証明する書類(結婚記念に取った戸籍謄本)
を母に持っていってもらった。
入院費用、約35万円。
病名が付いたので、一応保険証が使えたが、これだけかかった。
差額ベッド代は1日6000円。
やっぱり高いよなあ、と、お見舞いに来てくれた友人Bに聞いたら、
「でも私の働いてた大学病院は差額18000円だし、有名S病院なんか30000円だってよ」
と、衝撃の情報が。
ひえええ、3万円もあったら、かなりいいホテルに泊まれるじゃないのーーーーー
入院保険で28万円戻ってきた。確定申告で3万円戻ってきた。
ちなみに、入院保険に入っていなかった場合、確定申告で戻る額は5万円。
やっぱり、個人でも保険には入っておくものだと思った。
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