入院

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2004年11月15日

受診して、ツワリが重くなったこと、出血が続いていること、流産止めの薬も吐いてしまうことを話した。
入院安静を勧められた。
「でも、しょっちゅう吐くのでトイレが近くにないと・・・それに、隣の人の食事の匂いが辛かったり」と答えると、
個室入院することになった。
今日の夕方から入院。

急な展開にかなり驚く。
入院なんかしたことがないので、病院の「入院パンフレット」を見ながら荷造りする。
夫と実家と学校へ連絡。
医療保険の会社にも電話し、保険が下りるかどうか聞いた。
個室入院なので、差額ベッド代がかかり、入院費の負担が心配だったのだ。
保険は下りる、書類を送ってくれるとの返事だった。

「妊娠は病気ではない」ということで、通常の妊娠検査や分娩入院に、保険証はいっさい使えない。
(そんなこと決めたのは、どこのバカ政治家だ!?  通常妊娠でも体調悪いよ!!)
私の場合は「切迫流産」と「重症妊娠悪阻」の病名が付いたので、
保険適用となった。

切迫流産の治療は、薬が飲めなかったら安静しかない。
ツワリ対策で点滴。吐き気が止まるわけではなく、脱水症状の改善のため。

病室に案内されたら、すでに両親が来ていた。(初孫だし心配してくれたらしい)
尿と血液の検査の後、すぐに点滴を打つ。

病院の枕はソバガラで、普段クッションタイプの枕を使っている私には固くて高く、
ほとんど眠れなかった。夫に頼んで、自宅の枕を持ってきてもらう。
病院の建物は古くて、すきま風が入ってくる。
結局、風邪をひいた・・・(妊婦は抵抗力が落ちているので風邪をひきやすく、薬が飲めないので治りにくい)

点滴生活


私はもともと、血管が出にくいので、点滴が打ちにくい。
これから毎日点滴をするため、手首近くに針を刺し、固定した。
これなら、毎回「刺しどころ」を探す必要がない。
一週間くらい保つらしい。

でも、2日くらいで詰まってしまって、結局毎回「刺しどころ」を探してもらうことになった。

静脈が出にくくてなかなか刺さらない。
1回について2〜3時間かかる。点滴スピードを上げてもらったら付いていけなかったらしく、
一時血圧が70に下がって危なかった。
徐々に痩せてしまったようで、血管まで痩せてますます刺さりにくくなり、
点滴は常に手の甲で行うことになった。

初期の点滴はいいが、後期に貧血で点滴が続くと、
私の血管はボロボロになってしまい、出産時の点滴が苦しくなる。
ツワリが落ち着いたら、貧血だけは注意してと看護士さんに聞いた。

点滴のアルコール綿の匂い、見舞いに来てくれた夫の汗の匂いがダメだ。ゴメン、夫。

入院中に食べたもの


これが入院食(夕食)。
主食はお粥がいいか、ゴハンがいいかと聞かれたが、
今の私にはどちらもダメ。(匂いの段階で吐く)
それで、主食はパンにしてもらった。

初めての入院で、給食が珍しいため、一口ずつ食べてみる。
思ったよりも味付けはしっかりしているし、
毎食、果物や乳製品が出て、栄養バランスもさすがに良い。
でもやっぱりあまり食べられない。パン(トースト)を半分と、果物、ヤクルトだけ食べた。
そしてまた吐いた。

やがて、イースト菌の匂いがダメになって、トーストが食べられなくなった。
ヤクルトも牛乳もダメ。果物も、柑橘類やバナナはダメ。リンゴは大丈夫。
おかず類はいっさいダメ。食事を運ぶワゴンが、廊下を通っただけでもうダメ。

切迫流産で安静ということから、食後の下膳は厨房職員さんがやってくれることになっていたが、
食べきれない食事がいつまでも室内にあるのも、辛い。
自分で下膳する事にした。

入院2週間目から、給食はヨーグルトと果物だけにしてもらった。
でも実は、食べてるのはリンゴだけ。ヨーグルトも吐いてしまうのです。

あまりにも吐いているため、看護士さんにポカリスエットなどのスポーツドリンクを飲むことを勧められた。
ツワリの時期は、子供は数十グラムしかないので、
母親が食べられなくても子供は育つ。
でも、脱水症状がすすむのが一番まずいのだそうだ。
それはわかる。私はすでに脱水を起こしており、尿があまり出なくなっていた。
検査をすると「ケトン体」が出ており、代謝障害も起こしているのだった。

というわけで、スポーツドリンクも飲んでみた。
でも、入院4週目ぐらいから、それも飲めなくなった。あの甘さが苦しくなって・・・
結局、6週間の入院のうち、後半3週間は、
自宅や実家から持ってきてもらったミネラルウォーターと、
一口ゼリーと、桃の缶詰と、給食でときどき出るリンゴ。
後は点滴で暮らしていた。

どんどん身体がふらついていくのがわかる。
来るべき退院と職場復帰に向けて、筋肉を落としすぎてはいけないと思い、
病院内をときどき歩いたが、足がガクガクする。
結婚指輪や腕時計がゆるゆるになって、痩せたのかもしれないと思ったが、
入院中は体重を測らなかった。

切迫流産対策

切迫流産の薬は、吐き気が強くなるために飲めなかった。
とにかく安静で、3週間ほどで心音が確認でき、
妊娠9週目に一応の危機は脱した。
10日に一度くらい、超音波で子供の写真を撮るが、ちゃんと大きくなっている。
流産のほとんどは10週目くらいまでに起きると聞いていたので、
本当にここまでは、とても心配だった。
ほぼ毎日出血していたし、ツワリもひどくなる一方だったので、
もうどうなることかと泣き暮らすような毎日だった。

とにかく吐いて吐いて・・・

吐く回数は、一日15回程度。
吐くものはないので胃液を吐く。奥の胃液は苦い。
吐くのも体力を使う。吐いた後は全身が震える。
吐いても食べるのがよいのか、
吐く体力を温存するために食べない方がいいのかよくわからない。

吐くときは、便器にトイレットペーパーを敷くと、胃液が跳ね返らない。
吐きにくい和式トイレでも、このテクニック(?)で大丈夫。
点滴台をトイレの中に持ち込み、点滴しながら吐いた。
こんな変な、嘔吐テクニックを身につけてどうするのやら・・・

ツワリが強いのは、とりあえず子供が自己主張しているのだから、元気な証拠だから。
ツワリは時期が来ればきっと治まるから。
それより、切迫流産を安定させることが大事。
・・・・と、看護士さんや助産士さんに励まされた。

退屈は退屈でした

安静第一なので、読書かテレビぐらいしかやることがない。
夫にいろいろと本を持ってきてもらうが、バンバン読めてしまう。
昼寝しても良かったのだろうが、昼寝すると夜眠れなくなって、
生活リズムが崩れるのが怖かったので、日中はなるべく起きていた。
点滴中は読書もきついしなあ・・・(腕をあまり動かせないので)

昼間のテレビはワイドショーや、再放送ドラマばかりであまり面白くない。
でも、夕方の教育テレビは面白い。
「ピタゴラスイッチ」「にほんごであそぼ」「ゆうがたクインテット」は、
必ず見ていた。

全日空の新しい羽田空港のCMを見ていたら、目が回ってしまった。
たくさんの飛行機がシンクロナイズド・スイミングのように動く、楽しいCMなのだが。
あと、シンガポールのマーライオンが水を吐くCMを見ると、私もたいてい吐いてしまった。

ほとんど食べられないけれど、食べたい気持ちはあるので、
グルメ番組はじーっと見てしまう。
でも、バクバク食べる出演者の様子を見て、
あまりの食べっぷりに、見ている私は吐いてしまうことがあった。

お見舞いありがとうございました

学校の同僚や生徒のお見舞いは、控えていただくようにお願いしていました。
かなりやつれているので、会うのが恥ずかしかったのもあるし、
生徒から見ればかなり強烈だろうから、このせいで「妊娠が怖い」とか思ってしまったら、
将来の少子化に拍車がかかるかもしれないと思ったので。

両親は交替でお見舞いに来てくれた。
私は実家を出てもう10年になる。
両親とゆっくり話せたのはとても良いことだった。
私を妊娠・出産したときのことや、小さいときの話。

友人や兄夫婦、夫のお見舞い、ありがとうございました。
夫は(そうじ以外は)家事をほぼこなしてくれていたようです。
結婚当初は家事がほとんど出来ない人だったけど、
やっぱりこういうことがあると、夫も家事が出来て良かったと思った。本当に。

6週間後、やっと退院

11月15日に入院して、退院は12月25日。
いつの間にか、木の葉はすっかり散って、町はクリスマスイルミネーションを外し、
正月モードの飾り付けにはいるところでした。

退院といっても、昨日までやはり点滴していたし、まだ水とリンゴぐらいしか食べられないのです。
カステラも少し食べてるけど。パンやごはんはダメだ。

でも、病室にこもるよりは、慣れた自宅に帰ったほうが精神的にもいいと判断。
私もそう思う。
ツワリがどこまで続くかの判断は難しいのだけど、
3学期の始まる1月10日頃には、もう妊娠14週なのだから、
普通はツワリは治まる物でしょう・・・  ということで、3学期から学校に復帰することにした。
仕事したほうが、気分も変わってシャンとするかもしれないし。
ツワリは、治まるときは数日で一気に治まる人がほとんどだとのことでした。
(でも、ごくまれに8ヶ月とか、臨月までツワリが続く人もいるんだそうな・・・)

自宅に戻ってビックリ。
駐車場まで歩けない・・・・
体重は10キロ減っていました。そりゃー体力が落ちるわけだ。

妊娠初期のほとんどを病院で過ごしてしまった。
すぐに母子手帳を取って、初期検査を受けなくてはならないのだが、
保健センターまで行く体力がなく、母に行ってきてもらう。
年末押し迫っているので、すぐ行かないとセンターも病院も閉まってしまう。
母子手帳は本人か、同居の家族が取りに行くことと決まっている。
保健センターに電話して事情を話し、
私と母の親子関係を証明する書類(結婚記念に取った戸籍謄本)
を母に持っていってもらった。

入院費用、約35万円。
病名が付いたので、一応保険証が使えたが、これだけかかった。
差額ベッド代は1日6000円。
やっぱり高いよなあ、と、お見舞いに来てくれた友人Bに聞いたら、
「でも私の働いてた大学病院は差額18000円だし、有名S病院なんか30000円だってよ」
と、衝撃の情報が。
ひえええ、3万円もあったら、かなりいいホテルに泊まれるじゃないのーーーーー

入院保険で28万円戻ってきた。確定申告で3万円戻ってきた。
ちなみに、入院保険に入っていなかった場合、確定申告で戻る額は5万円。
やっぱり、個人でも保険には入っておくものだと思った。

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