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1歳2ヶ月(復帰半年前)
 <公民館の保育付き市民講座に申し込む>

保育園に入る前に、「他の子といっしょにいること(いっしょに遊ぶのはかなり高等なので、もっと先のハナシ)」
「お母さんのいない場所に預けられること」を経験させておきたい。

「他の子といっしょにいる」は、生後4ヶ月の終わりから児童館で遊んでいられるので、ひとまず大丈夫だろう。
「お母さんのいない場所に預けられる」が問題だ。

と思っていたら、市の公報によさそうなものが載っていた。
「公民館主催・市民講座(1〜未就学児の保育付き)」

来月から毎週1回・2時間の講座。
内容は、子どもと絵本・おもちゃ・テレビについて、子どもの発達について。
いいんじゃないか?
復帰したらきっと、保育の授業をまたやるだろう。
子育て経験をしたから、だいぶ授業内容はバージョンアップできると思うけれど、
自分の経験だけに頼って、偏った授業になってはいけないと思う。
そのへんを整理できるのではないか?
ママ友達も増えるかもしれないし。

そして抽選の結果、参加できることになった。

保育室に預けるときに必要なものの、リストも付いていた。
普通の保育園に入るときと、かなり似ていると思う。
 ・子どもが自分で出し入れできるバッグ
 ・着替え一組
 ・オムツ
 ・ゴミ袋
 ・連絡帳
 ・子どもの身体に付ける名札
全て名前を付けること。


通園バッグはいつかは作らなくてはならない物なので、
この機会に作ってしまいました。
「通園バッグ」と言えば、普通はキルティングなのでしょうけど、
私はそれに疑問を持っている。かさばるし、厚くて縫いにくいじゃないか。
それで、しっかりした木綿のチェック生地にしました。
これなら軽くてたためるし、大人の通勤カバンといっしょに持ってもおかしくない。
フェルトでプーさんをアップリケしました。ちょっとバッタものっぽいプーさん。
2〜3日かかるかと思ったけど、2時間半ほどで完成。

「子どもに付ける名札」は、
「上下2段で上段に子どもの愛称、下段に子どもの生まれ月を記入」とある他は、
素材や大きさの指定がありませんでした。
というわけで、フェルトを楕円型に切り、
市販の平仮名や数字の形に切られているアイロン接着フェルトを貼り付け、
周りを縁取りして、ゴムをくっつけました。


こうやって、背負わせます。
紙製の名札だとボロボロになるし、
毎回安全ピンで付けたり外したりするのは危ないし、大変だからね。
カナエも、この形で嫌がっていないようでした。

1歳3ヶ月(復帰5ヶ月前)
 <公民館デビュー>

今月から、毎週金曜日の午前中2時間、
公民館の中の保育室にカナエを預けて市民講座を受講することになっている。
今日はその第一回で、親子一緒に保育室に入り、ミーティング(自己紹介など)をした。

カナエは公民館に着いて、保育室に入る前すでに、大勢の(15組くらい)親子にびびったのか、
ベソをかいて「ばっばっば!」と私に貼り付いてくる。
こりゃーだめかなーーーー

とにかく保育室に入れてみると、たちまちカナエは探検を始めた。
ここの保育士さんは6人もいる。子ども2〜3人に1人の割合で、一般の保育園より手厚い。
カナエは保育士さんに人見知りするかと思っていたが、まったく平気。
滑り台をよじ登り、てっぺんで得意げに拍手。
滑り降りて、わたしの方にニコニコとハイハイしてくる。
「お母さん、見てたー? ひとりで登ったんだよー」という顔で。
ちょっと頭を撫でたら、またすぐ滑り台に戻る。

だんだん遊びに夢中になって、わたしの方には戻らなくなった。
遊具コーナーで楽しそうに遊んでいる。
粘土を初めて見たカナエは、潰したり握ったり。
ままごと道具の湯飲みを手に持ち、保育士さんの前で「くーーーっ」と飲む真似をして見せ、
誉められると拍手して「ヤター!」と喜んでいる。
湯飲みの使い方をちゃんとわかっていたのも驚きだが、
その場に馴染んで、楽しく遊んでいるのも驚きだった。

他の子とぶつかったときだけ、ベソをかいて私に抱っこされに戻ってきたけれど、
あとはずっと保育士さんと遊んでいた。
ときどき「お母さん、ちゃんといる?」と視線で私をチェックしている様子だったが、
20分くらい、まったくこちらを見ないこともあった。

ともあれ、保育室が気に入ったようで、ひとまず安心した。
ただ今日は、私も同じ部屋にいたので、感覚は児童館に遊びに行くのと変わらないと思う。
来週からはいよいよ、私は別室で受講、カナエは2時間離れることになる。
2時間ながらも「おやつの時間」もある。
どうかな? 大丈夫かな?
でも、迷わずにやっていきたい。

こちらの言うことがけっこうわかっているようだ。
出かけるとき、「靴下はくよ」と言ったら、座って足を私に向けて、
片足がはけたらもう片方の靴下を自分で取り、私によこした。
だから、黙って保育室に置いて、そっと出ていくんじゃなくて、
「お母さんは上で勉強してるから、カナエはここで遊んでいてね。またあとでお迎えに来るからね」と、
ちゃんと話してやろうと思う。

1歳4ヶ月(復帰4ヶ月前)
 <ついに「母子分離」>

公民館の「保育付き市民講座」、ついに今日から、母と子どもは別室です。
どうなるんだろう。2月に母にカナエを預けてお葬式に行ったときは、2時間泣きっぱなしだったし。

カナエには、出発前も公民館に着いてからも、
「カナちゃん、先週ここに来たよね。滑り台して楽しかったよね。
今日もお友達と、おばちゃん(保育士さんのこと)と、いっぱい遊んでね。
オヤツももらえるんだって、いいなあ。いっぱい食べてね。
お母さんは別のお部屋でお勉強してるけど、お昼には必ず迎えに来るよ。
カナちゃん、楽しく遊んでね」
などと、何度も言い聞かせた。
わかってるのかどうかは、わからないけど。

少し早めに着いて、授乳室で授乳して落ち着かせた。
保育室に子どもを入れたら、出来るだけ早く学習室に移動するのがルール。
いつまでも子どもを振り返ると、子どもも気持ちが切り替えられなくなるし、他の子にも影響してしまうから。

カナエは昨夜、2時間も「夜遊び」していたせいか、開始前にすでに手足がほんのり暖かい。
目元も、何か眠そう。
床に置くと「へーうー!」とベソをかき、抱っこすればニコニコ。

保育室に子どもを順々に入れていく。
年長の子は「私一番乗り!」とスタスタ入っていく。
小さな子は、泣いていたり、お母さんにしがみついている子もいる。
私も涙が出そうになったが、カナエを保育士さんに抱っこで渡す。
4月からの保育園もそうだけど、きっとここで迷ってはいけないのです。
西原理恵子さんの「毎日かあさん」にも、保育園送迎の光景を描いたのがあったけど、
まさにその通り、「こんな苦労が男に出来るかバカヤロウ」な気持ち。

学習室に向かいながら、ちらっと振り返ってみたら、
カナエはもう普通の顔をして、むしろぼけーっとした顔で、テーブルの横に座っていた。
泣いてはいないけど。
事情がわかってないのかな。わかったら泣くかな。お母さんいないよって泣くかなあ。

今日はミーティング。
自己紹介。先週も自己紹介だったけど、
子どもがそばにいると、「あーっ、ミニカー投げちゃだめー!!」
なんてふうに、子どもが気になってしまって、実は他の方のお話しの、半分も頭に入っていなかった。
こうして、大人だけが集まって、静かに話をしたり聞いたりできるっていうのが、
とても新鮮だった。・・・出産以来はじめてだ。

保育士さんから「今日の保育室」の様子を話していただく。
泣いてる子もいるし、泣かない子もいる。お母さんはあのドアの外にいるはずだ、とドアに近づきたがる子も。
なんだか切ないけども。
カナエは泣かずに遊んでいたそうだ。事情がわかっていないのかなあ。

今回泣かなくても、次回は離れることを理解して、泣くかもしれない・・・
それでも子どもは、いつまでも泣いているのも何だしと思うのか、
オヤツが出るとそこで気持ちを切り替えて、みんな落ち着いていったそうだ。
年長の子は、子ども同士の関わりも始まっているという。
ここでいろいろ子ども同士でもめたりするうちに、
意志を出せるようになったり、受け止めたり、子どもも成長する。
それが子どもの力のすごいところか・・・・

子どもを保育室に入れるときの、別れ方・迎え方のアドバイスがあった。
子どもが小さくて、言葉が理解できなくても、きちんと説明すること。
   *「ここで遊ぶんだ」という意識を持てるよう、楽しく遊んでねという声かけ。
   *「お母さんは必ず迎えに来る」という約束をしっかりする。
     子どもはちゃんとそれを覚えていて、途中泣いても、約束を思い出せば納得する。
   *「お母さんも楽しんでくるよ」と伝える。
     子どもなりに、母のことを心配しているから。

泣かなくても、不安の表現方法は「泣く」と限らない・・・
お母さんと離れたがらないのは、母子関係がきちんと出来ている証拠なので、良いことだそうです。

感動の再会、なのだけど。

今日の講座が終わってカナエを迎えに行く。
ちょっとのぞくと、カナエは眠そうな顔をしてベソをかきながら、保育士さんに抱っこされていた。
ドアが開いて、歩ける子は一斉に(泣き顔の子もいる)お母さんの方に寄っていく。
私はまた泣きたくなるような気持ちで、カナエを迎えた。

カナエは私を見ると、声を上げて泣き出した。
手足がものすごくホカホカ・・・・・
保育士さんによると、カナエは前半、まったく泣かずに楽しく遊んでいたそうだ。
(おやつの時間もじっとしておらず、途中で遊んだりしてた)
げらげら笑ったり、壁に貼ってある動物の絵を指さしたり、かなり楽しんでいたと。
でも、後半は眠くなり(無理もない、ふだんもお昼少し前から昼寝をはじめるし、昨夜は「夜遊び」してたし)
泣き始めた。
抱っこしたらおっぱいを思い出したのか、保育士さんの襟元をまさぐったり。
でも、母じゃないことはわかるのか、「ばっばっば!」は言わなかったそうだ。

カナエは私に抱っこされて、「ばっばっば!」と言っている。
よしよし、頑張ったね。えらかったよ。
・・・と、授乳室に向かおうとしたら、保育士さんの方に両手を出し、「もう一回抱っこしてーー」とねだる・・・

えっ????
母の立場は??????????????
よその親子は、感動の再会シーンと「ママだっこー」状態なのに・・・・
そんなにその保育士さんが気に入ったのか・・・
私はその保育士さんより15センチくらい背が低いので、
ママ抱っこされたら視界が低くなって、つまんなかったのかもしれない。

授乳室では「慰謝料よこせ」とでも言い出しそうな勢いで、じゅうじゅうと飲んでいました。
帰宅途中は、ベビーカーから振り返ってニコニコ。
「うん、お母さんはここにいますよー  カナちゃん楽しかった? お母さんはお友達が出来たよ。
カナちゃん、来週もお友達と遊ぼうね」
などと言いながら帰宅。

おなかがすいてるだろうな、と昼食を準備(朝のうちに下ごしらえしておいた)していたら、
カナエは私が台所に入るのを許さない。
カナエはどんどん絵本を持ってきて、次々に「読んで」と要求。
そうか。カナエにとっては、絵本は私との大事なつながりなんだね。
どんどん読んであげる。
今日のお昼は、ベビーフードでいいや。
絵本の合間にサッと食べさせる。
おなかがふくれたら、急に眠くなったのか、寝室に連れて行ったらすぐに眠った。

なるほど、保育園から帰ってきたら、しばらくはベタベタする時間を持った方がいいってのは、このことなんだね。
ほんの2時間離れただけなのに、ずいぶん離れていたみたい。
カナエはやっぱり私の大事な娘だなあと、今さらのように愛おしく思った。

保育室、エンジョイ

公民館の保育室に預けるようになって、1ヶ月がたった。
思ったより馴染んでいる。
ときどきは私を思い出すのか、突然大泣きすることもあるそうだけど、
おおむねげらげら笑いながら楽しく遊んでいるそうだ。

今日は、お迎えの前に保育室を外からのぞいたら、
みんなで絵本の読み聞かせをしてもらっていた。
みんなは床に座っているのだけど、カナエだけはなぜか、テーブルの上に登っており、
腹這いになったり座ったりしている。
でもとても楽しそうだ。
全員、絵本への食いつきがものすごくいい。
だれ一人泣いていない。じーっと絵本に集中している。
私の授業よりずっと集中しているかのように見える。

読んでいる絵本は、「いないいないばあ」と「しろくまちゃんのほっとけーき」だそうだ。
この絵本はふだんから、カナエが喜んで読んでいる。

1歳6ヶ月(復帰2ヶ月前)
 <こんなにわかっていたなんて>

昨日の夜、「明日は保育室だから」と思って、
カナエに必要な荷物を見せながら、保育室用のカバンに詰めていった。
着替え。オムツ。ストローマグ。出席カード。名札。
名札は、以前も載せたことがあるけれど、
フェルトとゴムひもで、マスクのような形に作った。
これを両腕に通し、背負わせている。
実際使ってみると、安全ピンよりも簡単に早く着けられるし、
保育中に飲物をこぼしたりして着替えるときも、
簡単に名札が付け替えられる。
本人にとっても、邪魔ではない。
出席カード(毎回、入室すると、このカードに好きなシールを貼ることになっている)を見せたら、
カナエはニコッとした。
そうだ、このシールを貼るところなんだよね。
そして、名札を見せたら、カナエは私から名札を受け取り、なんとひとりで背負ってしまった。
背負うような動きが出来るということにも驚いたし、そういうものだとわかっているのにも驚いた。

さて今日。
普通の保育園などと違い、ここの保育室は入退室は、一斉に行う。
部屋の中と外から、「もういいかい」「もういいよ」と声を掛け合い、ドアが開くようになっている。
保育室の入室時は、やっぱりどうしても泣いてしまう。

でも、保育スタッフさんに聞いたら、「お母さんが行ってしまって、振り返ったらもうカナちゃんは泣いてなかった。
すぐ、シールを貼って嬉しそうにして、ままごとセットのところに行って、楽しくやってた」とのこと・・・
退室時も、いつも泣いているのだけど、
どうやらこれは、入退室時には仕方ないことらしい。(保育園に通う子にも、よくあることらしい)

講座の最後の方は、いつもスタッフさんが来てくれて、今日の保育室の様子を教えてくれる。
それによるとカナエは、

「最後の頃、年長の子どもたちを中心に、かくれんぼの遊びをした。
鬼が数を数えているときは楽しそうにしていたのだが、
『もういいかい』『もういいよ』のやりとりが始まったとたん、
カナちゃんが大泣きしてしまった・・・」

どうやら、私が戻ってくるときの言葉のはずなのに、
私がいないので、泣いてしまったらしい。
「もういいかい」 という言葉の意味を、ちゃんとわかっていたことにも驚いたし、
カナエは保育室を楽しみながらも、私を待っているのねえ・・・  と切なくもなった。

1歳7ヶ月(復帰1ヶ月前)
 <公民館保育室 最終回>

11月から毎週2時間通っていた、公民館主催の「保育付き市民講座」が終わった。
全部で15回ほど。
初めてカナエと私が離れ、それぞれ別に行動する経験をした。
毎回の講座が始まる前には、「お母さんは別の部屋で勉強しているから、カナちゃんはここでお友達と、おばちゃんと遊んで、おやつを食べて待っててね。お昼に迎えに行くからね」と、カナエと約束していた。

最初の頃こそ泣いて、私も切なくなったけれど、
カナエは割合、馴染みが良かったようで、
入口で「ああ〜ん!」と大泣きしているのを、ムリヤリ保育室に押し込んでも、
10秒ほど経って窓から中を覗いてみると、カナエはもう普通の顔をしてシールを選んでいたり。
様子を聞くと、中ではとても楽しんでいるそうだ。

子どもたちはゼロ歳からもうすぐ4歳という異年齢の集団で、
年長の子は友達と遊ぶ、という楽しみを見つけやすいけれど、
年少の子は初めのうち、なかなかそうはなれない。
誰か保育スタッフの一人をよりどころにして、抱っこしてもらったり気分転換しながら、
どうにか2時間もたせる・・・・といった感じ。

ここまでして自分の時間を作ることに迷いもしたけれど、
本当に久しぶりに大人だけで落ち着いて話が出来たり、勉強が出来るのはとても新鮮だった。
だんだんに年少の子も「仲間と過ごしている」という感覚を持ち、
年長の子と支え合って「保育室」という場を作っていくようになっていった。
1歳児でも、高校生のクラスがまとまっていくのと同様に、
集団の一人として活躍しているのだ。この姿には、本当に驚かされた。

私はホームページを作り、出来るだけ子育てを客観視できるように気を付けていたつもりだった。
それでも、この講座に来て、カナエと離れる時間を作ることで、
自分が子育てに煮詰まってきていたことを、初めて自覚した。
そして他の人も、ほぼ同じような思いを抱いて日々過ごしていることを知った。

自分や家族以外の人にカナエを見てもらうことで、
カナエがどんなことが好きで、どんな性格なのかという新しい発見がいくつもあった。
教師の仕事をしていれば、生徒の様子を知るのに、
担任の観察だけではなく、他教科や部活顧問、副担任など多くの教員が見たほうが、
生徒のさまざまな面を知ることが出来るし、問題解決にも有用・・・なんて、基本中の基本だとわかっている。
でも、嵐のような子育て期間には、どうしてもそこまで思い至ることができない。