9 ベルリンの名所5:動物園と壁

ドイツのトップへ

動物園とベルリンの壁

なんだか不思議なんだけれど、ベルリンの中央駅は「動物園駅」というのです。
大きな動物園の奥には、これまた広い公園が控えています。
ドイツの他の町では、中心になる駅はとにかく「○○町中央駅」というので(そのまんまじゃん!)
ベルリンはそうじゃないのが、変な感じでした。
東京で言えば、上野駅を中央駅として使っているようなもんかなあ。
動物園の裏門。トラの彫刻が乗っています。車通りが激しくて、横断できない。


有名な、動物園の正門。東洋風の屋根にゾウの彫刻。
「ビヨンド・サイレンス」では、父と喧嘩してベルリンに飛び出してしまったララを追って、
8才の妹まで無断でベルリンに来てしまいます。
妹から「ベルリンに来たよ!」という突然の電話を受け、
驚いたララが迎えに行ったのが、ここ。

日曜日なだけあって、チケット売り場はスゴイ行列。
ヨーロッパでも最大(?)の広さで、水族館も充実しているというから、いつかはゆっくり見物したいです。

ベルリンの壁

ベルリンの中央駅を、あえて「動物園駅」と言っているのには、
ちゃんと理由があるそうです。
ベルリンの壁で分断されている時代には、旧東ベルリンの駅を「中央駅」と称していたのだそうです。
統一後、旧東ベルリンの方は「東中央駅」、旧西ベルリンの方は「動物園駅」とよび、
動物園駅の方を中央として扱うことになりました。

この二つの駅は、電車に乗って15分くらいしか離れていませんでした。
しかも、同じ路線の上にあるのです。
路線図を見る限りでは、この路線は東京の「中央線」によく似ています。
「動物園駅」と「東中央駅」の間は、新宿〜東京間とほぼ同じ程度だと思います。
けれど、壁のあった当時は、ちょうど四谷ぐらいの位置で電車はストップし、そこが西側・東側の終点だったわけです。
もちろんそれを越えて電車に乗ることは出来ないし、東側の人がそんなことをしようとしただけで、逮捕されます。

当時はどうだったかわからないけれど、電車の窓からはっきりと町並みが見えます。
壁に近い地域であれば、きっと向こう側の窓明かりや、音も聞こえたと思う。
でも、東側の人は絶対に行くことは許されない。
いろんな方法で亡命しようとした人の記録が残っていて、「壁博物館」というのにまとめてあるそうです。
今回はここには行けなかった。
今度行くときには、ここにも行ってみたい。

ベルリンの壁が崩壊したとき、私は高校3年生で、歴史が動いているその瞬間に驚き、
「壁」のことを調べてさらに驚きました。
  
東中央駅のあたりには、壁がまだ少し残っていました。
写真の下の方に、微妙に写っています。(電車の窓から撮影した・・・)
今はほとんど取り壊され、ひとかけら300円くらいで売られてたりもします。
旧西ベルリン側の壁には、当時からいろいろと落書きがされていたそうですが、
東ベルリン側の壁には近づくことも出来なかったそうです。兵士が見張っているから。
現在は、落書きよりずっと大がかりなペイントがされています。「地元アーティストが書いている」のだそうです。

壁そのものは、大した高さではないです。
女子大の寮の外壁の方が、よっぽど高いです。
でも、壁は一枚ではなく、西側と東側に2枚あったのでした。
その間には森があったり、川があったり。建物もあったそうですが、取り壊されました。(現在は再建中)
そして、もちろん監視塔があるし、監視兵もいる。場所によっては地雷も埋められていたとか。

この壁は、第二次大戦後に分割占領されたベルリンの、
ソビエト側からアメリカ側へ引っ越す市民があまりにも多かったため、
一晩で一気に作ってしまったのだそうです。

小学校の頃に、「サイボーグ009」という漫画を読みました。書かれたのはもう30年以上昔のこと、
ベトナム戦争まで舞台になっており、
私はワケわからないまま、でも深いものを感じながら読んでいました。
サイボーグは9人いて、世界中の国から「いなくなっても騒がれなさそうな人物」を選んで、集められます。

東ベルリン在住の青年は、婚約者と共に動物の着ぐるみを着て、
動物園へ向かうトラックに乗って西ベルリンへ亡命しようとします。
ところが、本物の猛獣に囲まれた婚約者がおびえ、その様子を見た国境兵に気付かれ、逃げようとします。
そして発砲。婚約者はその場で射殺されてしまいます。
虫の息の青年は連れ去られ、体に武器をどっさり仕込んだサイボーグ004に改造されてしまうのでした・・・

ベルリンの壁が崩壊したのはいいと思うけど、その時にたくさんの兵士が死んでしまっているそうだし、
それ以前に、亡命に失敗して逮捕されたり殺されてしまった人たちのことも、考えてしまうのでした。

ベルリン市内の建物と鉄道は、今も再開発中です。
あちこちが工事中でした。
しかし、旧東ベルリン地域に入ったとたん、明らかに建物が古ぼけていたり、
「鉄道が曲がって敷かれているのは、壁をよけて作ったからだ」と地元ホテルの人に聞いたり。
根が深い。
その人に、「ドイツって案外英語が通じないですね」と質問したら、
「旧東ベルリン出身の人は、あまり英語を勉強してないですよ」との返答。
この言外に差別的なものを感じてしまったのは、考え過ぎかしら・・・・

クマアート

現在、ブランデンブルク門と、周辺道路は工事中で通行止めです。

遠くから見る分には、そんなにわからないのですが。

近づくと、そっくりにペイントした布が巻かれているのがわかります。
サッカー場の絵も描かれており、(季節によってペイントを変えている)
「ブンデスリーガ読むなら○○新聞」と広告が入っています。
これはこれで、面白い。

ブランデンブルク門は定期的な塗り替え工事のようですが、
その周辺道路は、再開発工事です。
当時、門を挟むようにベルリンの壁があったのだそうです。
そして、門近くの広場で、クマアートの展示をしていました。
地元アーティストが、平和を願い、世界各国をイメージして、クマ(同じポーズの彫像)にペイントしています。

なんだか、大きく出てきてしまいましたけど。

日本。
ヨーロッパの人から見て、やっぱこんなイメージ?
中国。
体中に漢字を書かれている。
エジプト。
いかにも。
イギリス。
女王様付き。
アメリカ。
自由の女熊。
トルコ。
ワールドカップ対戦記念に撮影しました。
インド。
一番デザインが気に入ったので撮影しました。
韓国。
ワールドカップ共催記念に撮影しました。
入り口の金熊さん。

10 フランクフルトの名所へ