紙おむつを洗濯機にかけてしまった!

2010年6月(生後9ヶ月と4歳11ヶ月)

yousight

洗い上がった洗濯物に、透明なツブツブゼリーがたくさん付いていました。
これは!  おむつの中の「高分子吸収体」ではありませんか!!

洗濯機の中を探ると、娘が夜だけはいている紙パンツが出てきました。
娘は1歳代の終わり頃から、自分の脱いだ服は洗面所(洗濯機がある)へ、
使用済みのおむつはトイレのゴミ箱へ、間違いなく自分で「ポイ」しに行っていました。
今朝も、私が息子の世話をしている間に、娘はすっかり身支度し(もちろんおむつも処理し)ていたのです。

それは母として、とってもありがたいことなのですが、
でも娘もうっかり、やってしまったのね・・・・


「紙おむつ 洗濯」でグーグル検索してみたところ、
すると、「塩を入れて洗濯し直せばよい! 吸収体が溶けるよ!」というのが出てきました。

メーカーのサイトでは、
「吸収体は無害ですが、手で取り除けるだけ取り除き、洗濯槽もよく拭き取り、再度洗濯し直す。
 乾いてもくっついている吸収体は、はたき落としたり粘着テープで取り除き、再度洗濯し直す・・・」
というやり方が書いてありました。
各社とも、「塩を使え」とは書いてません。




私は洗濯機が回っている間、2回「一時停止」して、
くずとりネットの中をきれいにしました。
2回とも、かなりの量の吸収体が入っていました。
溶けた様子はない・・・・

しかし、服が乾くと、かなり「ツブツブゼリー」が残っており、はたいても粘着テープを使っても取れません。
結局、服を裏返しながら、さらに2回洗濯し直し、どうにか終わりました。

さて、「塩を入れて洗濯し直せばよい」という情報の真偽はどうなのでしょう。
実験してみるのが一番です。

新しい紙おむつを切り開いてみます。
中は、綿で満たされているように見えますが、
これが実は高分子吸収体です。
少しとって、鍋に入れてみます。
ちなみにこの量で、はかりに乗せても関知しないぐらい軽いのです。

中心に綿の固まりのようなものが、
周囲に細かな(塩一粒より小さいくらい)ツブツブが見えますが、
全部高分子吸収体です。
50mlほどの水をかけてみました。
10秒後、みるみる水を吸い取ります。
30秒後。
ツブツブゼリー状なのがはっきりしました。
5分後。
いやあ、カサが増しましたねえ・・・

つまり、洗濯機の中でほんのちょっぴり、
高分子吸収体が漏れてしまっただけでも、
被害は甚大ってことです。
ほんのひとつまみだけ取ってみました。
5mlだけ水をかけてみます。
さすがに吸収し切れていません。
キッチンペーパーを端に寄せて、水分を吸い取ったあと、
乾燥させてみました。
もとの「綿っぽい状態」に戻りました。

高分子吸収体まみれになった洗濯物を洗濯し直し、
乾かすと、まだけっこうツブツブゼリーが残ってます。
同時に、綿ぼこりのようなものも、だいぶくっついています。

「綿ぼこり」はおむつ外側部分の切れ端なのかもしれませんが、
乾燥した高分子吸収体であることも否定できないですね。
さて、ここから核心の実験です。

「高分子吸収体は、塩に溶けるんですか?」

ひとつまみの高分子吸収体(右側)と、ひとつまみの塩(左側)を
用意しました。
どちらも少量なので、はかりが関知しません。
だから見た目で「だいたい同量っぽいカサ」にしました。
両方を合わせてみました。
すぐ、水がしみ出てきます。

でもこれが、高分子吸収体が溶けたのかどうかわかりません。
塩自体も水分を吸収するものですし、
水分を吸収してから塩が溶けて、このように見えるのかもしれないからです。

そこで、キッチンペーパーで水分を吸い取り、残ったものを観察しました。
溶けきれない塩のようにも見えるし、
縮んだ吸収体のようにも見えるし。
よくわかりません。
では・・・
先ほどの、水を50ml含んだ、高分子吸収体の上に、
小さじ2杯ほどの塩を乗せて、混ぜてみました。
10秒後。
水がどんどん出てきます。
30秒後。
大根おろしみたい・・・・
水分が出てきているようですね。
鍋を傾けて水を捨て、
さらに手で、軽く絞ってみました。

随分カサが減りましたね。
でも、高分子吸収体が溶けたわけではありません。

実験結果まとめ。

高分子吸収体は、塩で溶けるわけではありません。
ただし、含んだ水分が抜けて、随分カサが減ります。




考察。

ネット上で「紙おむつ 洗濯」と検索すると、
「やっちゃった〜!」という人がたくさん出てきます。
ホント、育児って疲れるので、うっかりやってしまうことがあるんですね・・・

そして、「塩水で洗濯し直すと解決する」情報の根拠としては、
「高分子吸収体は、塩で溶ける性質があるから」もしくは
「浸透圧の関係で、塩に出会うと水分が出ていくから」
と書かれているものが見られました。

でも、それはちょっと違います。
実験結果にあるように、塩に出会っても高分子吸収体が溶けることはありませんでした。
だって、尿や汗にも塩分は含まれるのですから。
水分が出ていくのは浸透圧の関係ではなく、
高分子吸収体はもともと、ナトリウムやカリウムに出合うと、吸収力を落としてしまう性質があるため、
吸収しきれない水分が出てきてしまったものと思われます。

ナメクジみたいに溶けるイメージではなく、
キュウリの浅漬けみたいにシナシナになるイメージでもなく・・・
ただとにかく、高分子吸収体のカサが減るのは確かでした。




結論。

(1)紙おむつを洗濯機にかけてしまったら、衣類にくっついてしまった高分子吸収体を、取れるだけまず手で取ります。
(2)そして、洗濯し直します。
(3)その際、数回の一時停止をし、洗濯機の中にある「くず取りネット」にたまった高分子吸収体を捨てます。
(4)これを繰り返す(衣服も裏返したりして)と、だんだん高分子吸収体が取れてきます。
(5)塩で高分子吸収体が溶けることはありません。でも、カサが減りますので、
  くず取りネットの中にたまる高分子吸収体の量が減る、という利点はあると思います。
  何しろ、高分子吸収体は、ちょっぴりでもすごくふくらみますから、くず取りネットからあふれてしまうかもしれませんし。
(6)でも、洗濯機によっては塩で洗濯槽が傷むことも考えられるので、よく気を付けましょう。


そして・・・
洗濯機を回す前に、その中身やポケットの中を今一度チェックしましょう。
育児でドロドロに疲れた親御さん、身の回りのことができるようになった(ように見える)子ども・・・
ドンマイです。