何となく、この秋冬に子供ができるのではないかと(まったく根拠はないが)思っていた。
もしこの秋冬に何事もなかったら、来年は3年の担任だし、卒業してから子供のことを考えようと。
この夏に、20年ぶりの喘息大発作が出た。
ステロイドという強い薬を何度も点滴して、発作を押さえた。
でもこの薬、もし妊娠していたら、かなりまずい薬でしょう?
ドクターに相談して、喘息の治療方針を変更した。
「発作が出たら押さえる」ではなく、「発作を日常的に予防する」方向へ。
毎日2種類の吸入を、朝晩やることになった。
面倒だけど、発作を予防できた方がいい。
もしも妊娠中に、この夏のような大発作が出たら、薬で抑えることもできず、母子とも危なくなってしまうから。
妊娠というのは、本当の初期はなかなか自覚できないものらしい。
早稲フィル時代の同期会があったが、一応、飲酒は控えてみた。
酒豪の私が飲まないのは不自然な姿なのだけども・・・
喘息の吸入器にはだいぶ慣れた。
効果はある。軽い風邪から喘息に発展することがなくなった。
学校はたいてい、インフルエンザが流行する。
この夏に喘息発作が出ているので、予防注射をしようと思った。
風邪やインフルエンザから、強い喘息発作に発展してしまうことがよくあるから。
この日はインフルエンザ予防接種の解禁日。肩口に注射してもらう。
とても眠い。眠くてしょうがない。
と先輩教員(女性)に話すと、「子供が出来ているのでは?」と・・・
でもそんなのがわかる時期ではないし、
インフルエンザの予防接種を15日にしてしまったから、妊娠していたらかなりまずい。
きっと、文化祭が終わって、疲れが出てきたのだろう。
今年は台風と重なって大変だったから。
10年前から欠かさず測っている、基礎体温が上がりっぱなし。
それも37℃近い。普段の高温期より高い。
もしかしたら妊娠かもしれない。
もしかしたら妊娠かもしれない。
というより、これが妊娠ではなかったら、厄介な婦人病だろう。それはまずい。
妊娠だとしたら、月末ぐらいにはツワリが起きるかもしれない。
私の母は3人子供を産んで、ツワリはなかったというので、私にツワリは起きないだろうと思うが、
ツワリで学校を休むこともあるかもしれない。
「もしも」と書いた箱に、自習課題のメモやビデオを入れて、机の上に置いておく。
トイレに行ったら出血していた。・・・・?
妊娠ではなかったのか・・・?
そこで、市販の妊娠検査薬を使ってみる。プラス反応、妊娠しているようだ。
・・・じゃあ、この出血は・・・?
まさか子宮外妊娠とか、若い頃やった卵巣膿腫の再発・・・?
30代だし、リスクは高いかもしれない。どうしよう、明後日は吹奏楽部の本番なのに。
もし、子宮外妊娠だったら、急いで手術をしないと私も死んでしまうかもしれない。
吹奏楽部、最終リハーサル。正顧問の先生(女性)に事情を話して、練習を早めに抜けさせてもらう。
本当は私の車で楽器を運ぶ予定だったけれど、それも取りやめ。
産婦人科の土曜外来最終受付にギリギリ間にあった。
この産婦人科は、自宅からも歩いて10分ほどの場所にある。古いが、内科や外科も併設。
尿検査の結果は「妊娠」、超音波検査をしてみると、子宮内に子供の影が見える。
つまり、子宮外妊娠ではない。とりあえずホッとした。
しかし、この出血と痛みは、「切迫流産の恐れアリ」とのこと。
切迫流産とは、「流産しかかっているが、投薬や安静で持ちこたえられる可能性が高い状態」のこと。
流産止めの注射を打ち、飲み薬が処方された。
「普通に生活したり、仕事していいんですか?」と聞くと、「安静がいいな!」との答え。
心配させないようにか、ドクター(女性)の口調は明るいが、あまり詳しい話はしてくれない。
一週間後にもう一度受診して、子供の育ち具合をチェックすることになった。
帰宅して、「保育」の授業準備に使っていた資料(妊娠・出産・育児に関するいろんな本)で
「切迫流産」について調べる。
本物の流産の場合、痛みは次第に強く周期的になり、出血も月経の比ではない・・・
切迫流産を起こす妊婦さんは結構多くて、たいていは落ち着いていくという。
治療にはやっぱり、安静が基本らしい。無理をすると本物の流産になってしまうこともあると。
でも、どこまでが「安静」なんだろう。
授業って安静に入るか? 入るはずがない。
事務仕事は? パソコンは? 家事は? スーパーで買い物するのは? オーボエ吹くのは?
どうしよう。明日の吹奏楽部。
私は生徒のフリをして吹くのだ。私が吹かないと、何の曲だかわからなくなる部分も多いのだ。
そのあと明後日からの授業。火曜日の調理実習は、材料を発注してしまった。
それに水曜日からは三者面談の予定を組んである。どうすればいいんだ。
最初の検診から数週間経っても、子供が育っていない場合は、
お腹の中で死んでしまったと判断して掻爬、とも書いてある。 ああ・・・
実家の母に電話したら、母は私と弟を妊娠しているとき、2回とも切迫流産を起こしたそうだ。
私を妊娠しているときは兄が、弟を妊娠しているときは私が、
それぞれまだ1〜2歳だったために、抱っこしたり面倒を見ているうちに、
身体に負担がかかっていたのだそうだ。
でも、流産止めの薬を飲んで、軽い家事はやっていたと言っていた。
とてもじゃないけど、妊娠の喜びなんて気分にはなれない。
生きるか死ぬかの瀬戸際にいるような気がする。
吹奏楽部は、本番の時間だけホールに行くことにした。本番は5分間。
5分オーボエを吹くのも、トイレで5分いきむのも、大差ないはずだ・・・
と、自分に言い聞かせて。
顧問教師には、事前に注文を取って昼食が配布されることになっていた。(実費500円)
メニューは「小僧寿司」だったが、生のにぎり寿司だ。
問題なく全部食べられる。
私はきっと、ツワリだけは起きないのだろう。
切迫流産さえ収まれば、すぐに職場復帰だ。
・・・・・このときは、本当のツワリの辛さをまだ、知らなかったのです。・・・・・
ちょうど校長先生が見にいらしてたので、事情を話す。
帰宅後、もう1人の家庭科の先生(ベテラン)に電話して、
とりあえず月曜日は休むと話し、自習課題をお願いする。
偶然だけど、金曜日に作っておいた「もしも」の箱が役に立ってしまった。
休みを取って安静にしている。でも、出血が続く。だんだん心配になってきた。
この出血の中に、子供がいるのでは・・・? 涙が出てくる。
副校長先生と電話がつながった。大事な時期だから休んで良い、とのこと。
切迫流産の場合、「産休」を2週間前借りして取ったり、
妊娠障害休暇も10日間取れるから・・・と。
火曜日も休ませてもらうことにした。
今週はずっと休むことにした。
三者面談の中止を生徒に伝えてもらうことにした。
まだ、子供の状態がハッキリしないので、生徒に妊娠の話は伏せてもらうように頼んだ。
「クラスのことは大丈夫だから」といってくれた。涙が出そうだ。
出血はまだ続く。
検診の日より早いが、出血があるし、風邪で咳も出るので受診。
子供は生きていて、心臓が見えた。少し安心した。
でも切迫流産の状態は続いているので、本気の安静を勧められた。
安静とは、家事も仕事もやらず、なるべく横になっている状態のことを指すんだそうだ。
産休を前倒しで2週間取ることにして、診断書を書いてもらう。
診断書と自習課題の追加、ビデオを宅急便で学校に送る。
つわりのようなものも始まった。空腹時に気持ちが悪くなる。
咳止めとして漢方薬を出してもらった。でも漢方ってすぐには効かないのよ・・・
喘息管理で通っている内科医院へ行く。これまた自宅から歩いて3分。
普通、病院選びはいろいろ情報を集める物らしいけど、
私は「近いかどうか」「土日も受診できるかどうか」で決めている。
こんな時はこれで正解。切迫流産の状態で、遠くの病院なんて行けません。
妊娠したことを話し、薬を調整した。
やはりこの気持ち悪さはつわりのようだ。
クラッカーなら食べられそうだ。
で、内科医院の隣にあるセブンイレブンに寄ったら、おでんコーナーが出来ていて、
においに負けて帰ってきた。
おでん、好きだったのに、気持ち悪い。
つわり、本格化。すぐ吐く。
流産止めの薬や、咳止めを飲んでも、すぐ吐いてしまうのだけど、これで効果が出るのか?
一昨日から、1日4〜5回のペースで吐いている。
体重を測ったら、この2日で3キロ落ちていた。
なんだか身体が苦しい。